労働保険 年度更新 準備に向けて
今回のテーマは【労働保険 年度更新 準備に向けて】
労働保険の年度更新は、会社の担当者様や経営者様にとって毎年6月から7月の期間に必ず訪れる重要な手続きとなります。
今回は労働保険について簡単にお伝えさせて頂きます。
■労働保険とは・・・
「雇用保険」と「労災保険:労働者災害補償保険」を合わせた総称のこと。
「雇用保険」:一定期間以上の雇用見込や一定時間以上の労働時間がある労働者なら
社員形態にかかわらず対象で、就業中または退職後の生活に備えるための保険のこと。
※原則として学生は雇用保険に加入できません。
「労災保険」:正社員やパートなど社員形態にかかわらず、その企業の労働者全員に適用される保険で、
業務上あるいは通勤途上で災害(業務災害や交通事故等)にあった場合に備える保険のこと。
■労働保険年度更新とは・・・
年に1回、新年度(今年の4月から来年の3月)までの見込み給与を基に、概算保険料(雇用保険料と労災保険料)を算定・申告し、
会社がまとめて前払いをすること。そして、前年度の保険料を 精算するための確定保険料の申告・納付手続のことです。
■手続き対象
対象の会社様には、労働局より事前に書類一式が入った封筒が届きます。もちろん、個人事業主も同様です。
従業員を一人でも雇用している事業所が対象となり、「雇用保険に入っている従業員がいないから必要ないこと」
なんて、無視をしていると大変です。雇用保険に入ってなくても労災保険には必ず入っていますので、対象となります。
また、緑色の封筒が届いてなくても対象となる場合がありますので、その時は行政へお問い合わせをお願いします。
書類一式の封筒には、申告関係書類等が入っており、そちらを使って申告しますので、失くさず大切にしてくださいね。
※再発行については管轄の都道府県労働局へご依頼ください。
※電子申請と電子納付により、自宅やオフィスからいつでも提出と納付が可能です。
■手順ついて
(1)「労災保険」の対象労働者を確定
労災保険の対象労働者
※ 法人の役員で「労働者」とすべき者については省略
- 正規・非正規の常用労働者
- 出向先として受け入れている出向労働者
- 派遣元として契約している派遣労働者
- 日雇い労働者
(2)「雇用保険」の対象労働者を確定
常用、パート、アルバイト、派遣等、名称や雇用形態に関わらず、
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込がある場合 には原則として対象。
※出向労働者の場合:出向元か出向先かにかかわらず、主たる賃金を受けているほうで対象
なおこれらの条件を満たしていても、以下の労働者は対象になりません。
- 季節的に雇用される者で4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
- 季節的に雇用される者で1週間の所定労働時間が30時間未満の者
- 昼間学生
(3)「算定基礎賃金集計表」を作成
前年4月1日~本年3月31日に賃金を支給したすべての労働者(中途採用者、退職者を含む)に支払われた賃金総額を、
労災保険対象者分と雇用保険対象者分別に集計表を作成。
※前年3月分の賃金を4月に支払った額は含めず、本年3月分の賃金を4月に支払った額は、賃金総額に含めます。(賞与も含む)
※この集計表の提出義務はありません。
(4)「労災保険分の確定保険料」を記入
(3)で得られた「労災保険対象者の賃金総額(千円未満切り捨て)」を申告書の確定保険料、労災保険分欄に転記し、
あらかじめ印字された保険料率をその額に掛けて、その結果を労災保険分の確定保険料欄に記入します。
この時同時に、一般拠出金の行に労災保険分と同額を転記し、あらかじめ印字された一般拠出金率をこの額に掛けて、
その結果を一般拠出金欄に記入します。
(5)「雇用保険分の確定保険料」を記入
上記(3)により得られた「雇用保険対象者の賃金総額(千円未満切り捨て)」を申告書の確定保険料、雇用保険法分欄に転記し、
あらかじめ印字された保険料率をその額に掛けて、その結果を雇用保険分の確定保険料欄に記入します。
(6)「労働保険の確定保険料」を記入
(4)(5)で記入した労災保険分の確定保険料と雇用保険分の確定保険料の合計を労働保険料の確定保険料額欄に記入します。
(7)「概算保険料」を記入
上記で求めた確定保険料記入欄の下部が、概算保険料を記入する欄です。
概算保険料はあくまでも概算ですので、前年度の賃金総額((4)(5)で記入した額)と同額を記入し、
あらかじめ印字された保険料率をそれぞれの額に掛けて、概算保険料額欄にそれぞれ記入します。(例外あり)
この結果、労働保険料の概算保険料が40万円以上(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)の場合、
延納の申請(納付回数)欄に「3」と書きましょう。3回に分けて分納(延納といいます)が可能です。
(8)「概算保険料の精算額」を計算
概算保険料欄の下部の、あらかじめ印刷された申告済概算保険料額の数値。この額が、前年納付した概算保険料額となります。
したがって今回の申告でこの額と(6)で記入した労働保険料の確定保険料欄の額との相違額を精算することになります。
申告済概算保険料額のほうが確定保険料欄の額より少なければ、その相違額を追加納付することになるので、差引額の「不足額欄」に記入、
逆に申告済概算保険料額のほうが確定保険料欄の額より多ければ、その額を差引額の「充当額欄」に記入します。
(9)「納付額」を計算し、記入
「期別納付額欄」の記入。(7)で記入した概算保険料の額が40万円以上であれば、3回に延納できるので期別納付額の第1期、第2期、第3期欄に
概算保険料の平均額を記入します。ただし、第1期の額から差引額欄の額を精算(不足なら加算、充当なら減算)し、
その額を「今期労働保険料欄」に記入してください。
※詳細つきましては「令和7年度 労働保険年度更新 申告書の書き方」冊子をご確認下さい
■手続き方法・期間
申告・納付は、「6月2日(月)から7月10日(木)まで」に
→申告・納付期日最終日である7月10日(木)は、金融機関窓口・労働局・労働基準監督署において大変混雑することが予想されます。
なるべく早めに申告・納付手続きをしましょう。
※5月中の受付はできません(電子申請を含む)
また、手続きが遅れますと追徴金を課すことがあるので期限はしっかり守りましょう。
◆最後に・・・
今回は労働保険 年度更新についてご紹介しました。期間内でスムーズに手続きができるように、
ご担当者様は前もって準備をしていきましょう。対象賃金の範囲や計算の仕方等にお困りの際はぜひ、
この機会に当事務所へご相談ください。お気軽にご連絡いただけたらと思います。